彦とアカはそれで元気をとりもどして、牛のせわをしはじめた。織姫も紫色の美しい布を織りながら、次の年の七月七日がくるのを子どもたちと楽しみにしている。
夏の夜空をみてみよう。
まん中に白く流れる雲のような天の川の上のほうに、青白く光る大きな星がある。織姫(おりひめ)の織女星(しょくじょせい)だ。そのそばに、ぽち、ぽちと、小さい星があるのが二人の子どもの星。天の川をへだてて右下に白くかがやく星が彦の星。彦星(ひこぼし)とも牽牛星(けんぎゅうせい)とも、犬飼星(いぬかいぼし)ともよばれている。アカの星はその足もとで光っている。
小郡の人たちは、もと彦が住んでいたところに小さい社(やしろ)を建てた。中には牛をそばにおいた男の像をまつって、犬飼さんとよび、社を牽牛社といっていた。その犬飼さんは、宝満川のむこう岸にむかしから建っている七夕神社の織姫さまをいつも見上げていたそうな。
小郡の人たちは、七月七日に七夕さんのおまつりをしていた。古くは七月七日だけれど、百二十年前に古い暦が新しく太陽暦(たいようれき)にかわって、これでは一月おくれたころがちょうど同じになるので、おまつりも一月おくれの八月七日にするようになった。
この日は彦がしたように、短冊(たんざく)にねがいごとを書いて竹の葉にさげる。新しく一年生になった子どものところではスイカをかざって、切って食べる。たいていスイカはたてに切って食べると思うけれど。
ちかごろ、七夕さんのおまつりは、小郡市民のおまつりになった。露店が出たり、おどりやパレード、のどじまん。宝満川にかけたカササギの橋の上での織姫と彦星の出会い。花火が宝満川の川原からうち上げられて、七夕の小郡の夜空を美しく飾っている。
(世良絹子再話)
参考にした本「星と伝説」野尻抱影著(偕成社)


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