むかし、むかし、ずぅんとむかし。大きな大きな神さまが空を飛びまわって、山や川をつくっていなさったと。
土をどっさりつみあげて
ぺたぺた かためりゃ 山になる
地面にすじ引きゃ 川になる
よっしょ
じゃまものは吹きとばせ ふぅー
てなぐあいにね。
さて、ひと仕事(しごと)すませて、できぐあいはとながめると、このあたりのようすがどうもよくない。東側には大きな山がいくつもあって、高く高くそびえているのに、西は、のっぺらぼうと、平らな地面がつづいていた。
「こりゃしもた。西んほうにも山ばつくろ。」
神さまはまず東に行って、並んだ山の中で一番高いてっぺんに両手をかけて、ゆっさゆっさゆさぶると、山のてっぺんがぽきんと折れた。折れたてっぺんをかかえて、神さまは平地の上を西へ西へと飛んで行く。