小郡の犬飼さん 七夕ぼん-おごおり探検隊

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inu-07.jpg上のほうがさわがしくなった。なつかしい声がきこえる。
「父ちゃん、ここだよ、父ちゃん。」
「アカ。アカ。」
「あなた、もう少しよ。」
 あけた彦の目に、白い暑い雲の上にいる織女(おりめ)と二人の子どもが見えた。三人は手をのばして彦とアカをよんでいた。
 竹のいちばん先は、もも色の紙をひらひらさせながら白い雲みとどこうとしているのだけれど、どうしてもとどかない。そのとき、彦の頭をけってアカがとんだ。アカの体がのびて、のびた前足を子どもたちがつかんだ。アカの体にまきついた布を織女がつかみ、その布に彦がしがみついていた。子どもがアカを雲の上に引きずりあげ、織女と子どもとアカとで彦をひっぱりあげた。
 雲の上で、みんなだきあって泣いた。うれしくてうれしくて、なみだにむせびながら、笑った。
 それから、竹がちぢんでいくのを見送っていた。
 織女がいった。
「じつはわたくしは天の神の王さまの娘で、ここでは織姫(おりひめ)とよばれています。これからあなたを父王のところにおつれして、わたくしの夫(おっと)とみとめてもらいましょう。」
 彦はかしこまって、姫についていった。
 王さまの宮殿はすばらしい。金、銀、水晶(すいしょう)などでかざられていてキラキラ光り、虹(にじ)の色に見える布が、天井からかべからさがっていた。王さまはとてもきびしい顔で彦をむかえた。